22. のびのび

 最近はボスがしょっちゅう東京へ行っていたので、その間の部屋の管理はこの僕、ピケ・ヘルナンデスに託されていた。部屋にいるのは僕と、のんびりうさぎのデーヤン・スパラヴァロのみ。こいつはいつもただ草を食べているだけで何も手伝ってはくれないので、管理業務は僕単独でやるしかない。
 朝起きて、まずは窓に行って外にいる鳥の観察をし、網戸でバリバリと爪をとぐ。やりすぎて網戸を破るとひどく怒られるけど、今はボスがいないので大丈夫。そして机や棚の上にあるものをすべて床に落としておく。これで机の上はすっきり。さらに、床の上に落ちたものをベッドやソファの下に隠す。これで床の上もすっきり。さらにさらに、トイレの砂を掻き出して外へ飛ばし、床の上へと入念にばらまいておく。これで万が一侵入者が来ても大丈夫。
 少しするとご飯を食べて昼寝タイム。ボスがいないので、ベッドの上で思い切り体を伸ばして寝転がる。本気を出せば、前脚の先から尻尾の先まで、なんと1メートルを超える長さ。あまりに長くて、見た人はみんなびっくりすると思う。

 東京から帰ってくるなり、ボスはぶつくさ言いながら床の上の砂を片付け、ベッドやソファの下に隠した物を元通りに。網戸が破れているのを見て怒り、ベッドの上を占領する。こうして僕ののびのびタイムは終了。少しさみしい。

ピケ・ヘルナンデスの知るかぎり
 1. ある夜のこと 2. パトロール開始
 3. 扉が開く日 4. 夢の中でも遊ぶ
 5. 冗談で一枚 6. 一日の始まり
 7. 僕がおそれるもの 8. 監視されてるっぽい
 9. おやつは永遠10. 窓の外には
11. 歌を教えてあげる12. 嘘やいたずらまみれの、一歳の誕生日
13. 誕生日とエイプリルフール14. 新しい世界へ、ついに進出
15. 空飛ぶピケ・ヘルナンデス16. うさぎの復活劇
17. ピケ・ヘルナンデス入り布団袋18. ピケ・ヘルナンデス監督の活動報告
19. 失踪中のあの子20. 得意技はたくさん
21. またまた復活!22. のびのび
23. のんびり応援24. パトロールと換毛な日々
25. 二十年ぶりの再会26. 二十年ぶりのライブ