33. ついつい手が出てしまう

 本当は仲良くしたいのに、一緒に遊びたいのに、ついつい手が出てしまう。うさぎのデーヤン・スパラヴァロや、死にかけのじいちゃんうさぎを見ていると、だんだんと体中がザワザワして、噛みついたり、引っ掻いたりしたくなってしまうんだ。どうしても衝動を抑えきれない自分がいる。噛みついた後にハッと我にかえって、あわてて彼らの首をなめてごめんと謝る。毎日毎日、それの繰り返し。

 夢の中では、彼らと一緒にボールを追いかけたり、おやつを交換して、一緒に木登りをしたりしてとても楽しい。彼らは僕よりも脚が早く勇敢で、鳥を捕まえてみせたり、木のてっぺんになっている木の実を取って僕に放り投げたりする。とても賢くて愉快なやつらで、僕もこんな友達ができて最高に誇らしい。
 それなのに夢から醒めると、現実の彼らはただケージの中にだらりと寝そべっている。僕と一緒に冒険するなんて遠い遠い現実だということがわかって腹が立ち、僕はまたパンチをくらわす。そして仕留めたいとすら思う。
 彼らと友達になり、一緒に冒険の旅に出る前に、彼らはこのケージの中からいなくなってしまうんだろうね。