17. ピケ・ヘルナンデス入り布団袋

 一階のおじいちゃんうさぎはまだ生きてる!
 そういえば最近になって急に、ボスが「暑い、暑い」と言い出した。僕の大好きな布団をクローゼットに片付けるんだって言うので、布団の上に寝転んで徹底抗戦する。押しのけても押しのけても布団の上に僕が飛び乗るので、そのうちボスはあきらめて部屋を出ていってしまった。
 ボスはいつも僕の気に入ってる物を取り上げるよね。自分はいつも外に出ていくから、外に遊び場やおもちゃがあるのかもしれないけど、僕はこの部屋で取り上げられたらジ・エンド。つまらない時間と格闘するはめになる。
 でも楽しみは自分で作らないとしょうがない。というわけで布団の袋に再び飛び乗り、次々と爪をさして袋に穴を開けていたら、帰ってきたボスにめちゃくちゃ怒られた。実はこの布団でもう、一生寝れないわけではなくて、また寒くなったら布団を出すのだと説明された。別れ、再会、別れ、新しい出会い、そうやって繰り返していくものだとボスに説かれた僕は、あほか!と言って布団の袋の中に突進した。見事ピケ・ヘルナンデス入り布団袋の出来上がり。
 このままクローゼットに仕舞われたら、ピケ・ヘルナンデスがみんなと会えるのは半年後の冬かな?

ピケ・ヘルナンデスの知るかぎり
1. ある夜のこと2. パトロール開始
3. 扉が開く日4. 夢の中でも遊ぶ
5. 冗談で一枚6. 一日の始まり
7. 僕がおそれるもの8. 監視されてるっぽい
9. おやつは永遠10. 窓の外には
11. 歌を教えてあげる12. 嘘やいたずらまみれの、一歳の誕生日
13. 誕生日とエイプリルフール14. 新しい世界へ、ついに進出
15. 空飛ぶピケ・ヘルナンデス16. うさぎの復活劇
17. ピケ・ヘルナンデス入り布団袋