13. 誕生日とエイプリルフール

 4月1日のエイプリルフールを誕生日にされた僕。朝起きたらボスに呼ばれて、誕生日プレゼントのおやつをもらった。だけど、大好きなウェットフードがない。ボスに聞くと、ウェットフードはもう昨日まででおしまいだって言うんだよ。最低な気分だ。

 その日の午後、僕はエイプリルフールのいたずらを決行した。ベッドの上におもちゃのしましましっぽだけを残して、部屋の中に隠れた。最初はまったく気づく様子もなかったボスだけど、しばらくしてベッドの上のしっぽを見つけて「ええっ!」と叫んだ。
 僕の名前を呼びながら各部屋と、一階までうろうろしながら一生懸命探してる。僕はおかしくて声が出そうになるのをこらえながら、ゴミ箱の中に身をひそめていた。
 いつのまにかウトウトしてしまい、ハッと我に返った時、部屋の外から「シュッシュッ、シュッシュッシュッ」と音が聞こえてきた。その音は段々大きくなって、部屋の中に響き渡る。ボスが猫じゃらしを振っているんだ。僕は前脚で顔を押さえて必死に耐えていたけど、ついに我慢できなくなって、ゴミ箱の中から猫じゃらしにまっしぐらで跳びかかった!
 「そこにいたのか。ばかめ」ボスはニヤリと笑って、ごはん入れの中にウェットフードを入れてくれた。僕がビックリしてボスの顔を見上げると、大人用のウェットフードを時々あげようと用意してくれてたんだって。なあんだぁと歯を見せて、僕はごはんにかぶりついた。
 初めて食べた大人用のごはんはサラサラしていて美味しいし、これも悪くないと思った。

ピケ・ヘルナンデスの知るかぎり
1. ある夜のこと2. パトロール開始
3. 扉が開く日4. 夢の中でも遊ぶ
5. 冗談で一枚6. 一日の始まり
7. 僕がおそれるもの8. 監視されてるっぽい
9. おやつは永遠10. 窓の外には
11. 歌を教えてあげる12. 嘘やいたずらまみれの、一歳の誕生日
13. 誕生日とエイプリルフール14. 新しい世界へ、ついに進出
15. 空飛ぶピケ・ヘルナンデス16. うさぎの復活劇
17. ピケ・ヘルナンデス入り布団袋