15. 空飛ぶピケ・ヘルナンデス

 先週、ボスがびしょ濡れのフラフラになって家に帰ってきた。どうしたのか聞いたら、朝早くから家を出て、大阪万博のオープニングで1万人の第九というものに参加して、外国の歌を歌ってきたらしい。
 歌った後は会場を回って、色んな国のパビリオンを見て回ってとても楽しかったものの、二万歩も歩いて、雨に濡れて疲れてしまったんだって。ボスは、「友達に1万人の第九に誘ってもらってよかった。そうでなければ万博を見に行ったかどうかわからないから」と言ってた。ボスは人混みが大の苦手だからね。

 お土産話を聞きながら色々と写真をみせてもらったけど、未来は車が空を飛んで、ロボットが僕たちの世話をしてくれるみたいだね。ロボットだって構わない、忘れずおやつをくれて遊んでくれるなら。
 あまりに眠くてボスがこれから昼寝をするというので、しかたなく僕もつきあってやることにした。今からぐっすり寝たら、「1万人のピケ・ヘルナンデス」「空飛ぶピケ・ヘルナンデス」とかの夢が見られるかもね。

ピケ・ヘルナンデスの知るかぎり
1. ある夜のこと2. パトロール開始
3. 扉が開く日4. 夢の中でも遊ぶ
5. 冗談で一枚6. 一日の始まり
7. 僕がおそれるもの8. 監視されてるっぽい
9. おやつは永遠10. 窓の外には
11. 歌を教えてあげる12. 嘘やいたずらまみれの、一歳の誕生日
13. 誕生日とエイプリルフール14. 新しい世界へ、ついに進出
15. 空飛ぶピケ・ヘルナンデス16. うさぎの復活劇
17. ピケ・ヘルナンデス入り布団袋