16. うさぎの復活劇

 最近またおかしなことが起こった。今にも死にそうになっていた一階にいるうさぎが、復活したって言うんだ。こいつは前から一階に10年も住んでいるおじいちゃんうさぎなんだけど、ここ二ヶ月ほど寝たきりになっていた。僕はちょいちょいとつついたり、甘噛みしたり舐めてみたりしてちょっかいを出していた。そしたらこの間ボスが、「うさぎが座ってる!!」と大声で叫んだ。見ると、ずっと寝たきりだったうさぎが、ケージの中にちょこんと座っていた。ボスは、いままで何匹もうさぎを飼ってきた中で、こんなことは初めてだと本当に驚いていた。
 そしてこの一連の出来事が、新参者のピケ・ヘルナンデスがちょっかいを出して、うさぎに刺激を与えたからだろうと表彰されることになった。僕はただのいたずら猫から、一夜にしてヒーローになったってわけ。とても誇らしいよ。そしておじいちゃんうさぎがもっと元気になってくれればと願っているけど、どうなんだろうね。今から一階のケージを見に行ってくる。

ピケ・ヘルナンデスの知るかぎり
1. ある夜のこと2. パトロール開始
3. 扉が開く日4. 夢の中でも遊ぶ
5. 冗談で一枚6. 一日の始まり
7. 僕がおそれるもの8. 監視されてるっぽい
9. おやつは永遠10. 窓の外には
11. 歌を教えてあげる12. 嘘やいたずらまみれの、一歳の誕生日
13. 誕生日とエイプリルフール14. 新しい世界へ、ついに進出
15. 空飛ぶピケ・ヘルナンデス16. うさぎの復活劇
17. ピケ・ヘルナンデス入り布団袋