18. ピケ・ヘルナンデス監督の活動報告

 最近力を入れているのは一階のパトロール。なにしろウジャウジャ動物がいるので、チェックするのも大変なんだ。ハムスターの一族は巣作りや回転車での運動で忙しくしているし、亀はゆっくり水場に移動してる。ビビリ犬はそこらへんにマーキングして、蛇はウネウネと不思議なダンス。一度死にかけて復活したじいさんうさぎは再び寝たきりになったけどまだ生きてる。
 画像は僕が、コオロギの監視をしているところ。この元気に飛び回っているコオロギたちは、蛇やトカゲのご飯になるのだそうだ。生きたまま食われるなんて、自分がと思うとぞっとするけどね。でも僕だって、飛んでいる鳥を捕まえたいし、泳いでる魚にかじりつきたいから。コオロギがケージから逃げ出してしまわないように、僕が監視しているってわけ。時々うっかり間違えたふりをして、ケージを倒してみたりもしてる。あわよくば、逃げ出すコオロギに噛みついてみたいからね。そのまま勢いで飲みこんじゃったりなんかして。
 ボスはコオロギのことを「少しゴキブリみがある」と言って苦手なようなので、ボスの枕元にこっそり一匹置いておいても面白いだろうね。またお目玉をくらうだろうけれど。
 というわけで朝晩の一階のパトロールは欠かさず、僕の重要なルーティーンになっている。そのうちみんなが僕のことを監督と呼ぶようになるよ。そういえば今日は僕の名前の元になったドジャースのキケ・ヘルナンデス選手が大活躍したらしい。監督気分で、後で試合をチェックしないとね。

ピケ・ヘルナンデスの知るかぎり
 1. ある夜のこと 2. パトロール開始
 3. 扉が開く日 4. 夢の中でも遊ぶ
 5. 冗談で一枚 6. 一日の始まり
 7. 僕がおそれるもの 8. 監視されてるっぽい
 9. おやつは永遠10. 窓の外には
11. 歌を教えてあげる12. 嘘やいたずらまみれの、一歳の誕生日
13. 誕生日とエイプリルフール14. 新しい世界へ、ついに進出
15. 空飛ぶピケ・ヘルナンデス16. うさぎの復活劇
17. ピケ・ヘルナンデス入り布団袋18. ピケ・ヘルナンデス監督の活動報告
19. 失踪中のあの子20. 得意技はたくさん
21. またまた復活!22. のびのび
23. のんびり応援24. パトロールと換毛な日々
25. 二十年ぶりの再会26. 二十年ぶりのライブ
27. ようやく一息28. 快眠月間
29. ジャマー月間に変更30. 何の音でしょう
31. まちがえないで32. テレビ観戦
33. ついつい手が出てしまう34. 僕がパトロールするわけ
35. 長生きの回36. 隠れマッチョ
37. カスカス声とフルート38. ペットセメタリー