34. 僕がパトロールするわけ

さて問題です。ピケ・ヘルナンデスはどこにいるでしょう?
答えは二段積みハムスターケージの後ろにいる、でした。
ほんとにこの家はみんないい加減だから、僕みたいなマメな男がいないと統制がとれないんだ。ボスは僕が退屈ゆえにいたずらをしていると思い込んでいつも怒っているけど、そうじゃない。犬やうさぎ、亀に蛇にハムスターにエサ用コオロギに、毎日欠かさず一軒一軒、彼らの家を回って様子をうかがっている。彼らが脱走でもしたら大変だからね。いつでも捕まえられるように見て回っているんだ。
時には彼らの悩みを聞くこともある。特に亀のやつは生きるのが大変そうで、とにかくゆっくりのんびり時が経つものだから、ジワジワと死に向かっている感覚にうんざりしているようだ。できるものならネズミたちのようにスピーディーに、ぽっくり逝きたいよとぼやいていた。僕が手伝ってやってもいいんだけど、やつらは驚くほど頑丈で、そう簡単には死ねないらしい。強すぎる者にもそれなりの悩みがあるってわけ。
僕の悩みなんて、半年以上探しているおもちゃが見つからない、だからほんとたいしたことないなと思うね。おもちゃをさがしつつ、動物たちに異常がないかどうか確認しに、今日もパトロールに行ってきます。