57. おやつの誘惑

おやつの誘惑にどうしても勝てない。僕は依存症なんだろうか?
死ぬほど怒ってたって、死ぬほど落ち込んでたって、おやつの袋を破るあの音が聞こえると、たちまち僕の体全体が黄金色に光り輝く。おやつに飛びついて至福のひとときを過ごし、味わいつくした後は全身の毛づくろいをすませて深い眠りに落ちる。
起きたらまた、おやつを欲してる。次に会えるのはいつなんだろうと、絶望的な気分になる。こんな気持ちになるなら、出会わなきゃよかった。知らずにすんでいれば毎日平穏だったのに。でもあの何ともたとえようのない素晴らしい時間を、僕は失いたくない。
知らなきゃよかったけど、知らないと寂しい。

